団地の植生⑮ 榎
この団地に榎の樹はない。
ところが榎の実生はいたるところに生えている。
つつじの植え込みの中やヤブランの中で育って、見える高さまで顔を出している。
これは野鳥が運んできた落とし物である。
落とし物、すなわち糞から生えたものなのである。
玉川上水の土手や立川の神社には榎の古木が多い。
榎の実は人が食べてもおいしい。
まして小鳥たちは大好物なのである。
一杯食べた野鳥はこの団地にやってきて今度は欅の実を食らい榎の実の糞を落として身を軽くして飛び立つのである。
それにしても今は実生から大木に育つ確率は低い。
えのきの由来は鍬の柄にしたからというけれど、柄になりそうなこの樹が多かったということだろう。
(牛鳴)