団地の植生⑫ネジバナ
芝生の中につんつんと出てくるピンク色の花。
花がらせん状につくから、無粋にもネジバナと言ってるけれど「しのぶもじずり」といういい名前が付いている。
「しのぶもじずり」は昔、福島県の信夫地方にあった染色技法で模様が彫られた石の上に生地を置いて上からこの植物を擦り付けて乱れ模様を染めたものということですが、平安時代ごろの話で鎌倉時代には既に消滅したらしく、現物は残っていない。
よく見ると、蘭特有の口唇状の形をしていて、花には気品がある。
小さいけれどれっきとした蘭科の植物なのだ。
らせん状に花が付けば日当たりの不公平はない。
自然は巧いことを考えたものだ。
ところでこの螺旋、右巻きか左巻きか。
どうやら個体の勝手らしく右巻きもあれば左巻きもある。
更に途中で思い直したか巻きなおしているものまであるから面白い。
前、綺麗な花だからと、植木鉢に移植したことがあった。
それはたちまち枯れてしまった。
この植物は単体では育たない。
芝生のような植物と同居して生育するのである。
牛鳴