団地の植生 ⑭ プラタナス
この団地にはプラタナスの大木が多い。
成長が早い樹なんだねぇ
樹の幹がパッチワークのように美しい。
あるいは軍隊の迷彩服のようだ。
この木をすずかけの木というのは、実を鈴に見立ててのことである。
確かに実は鈴をぶら下げた形である。
でもちよっと待った。
旅の衣は篠懸の露けき袖もしおるらむ・・・
能でいうスズカケとは鈴掛けじゃなくて「篠懸け」なんですよ。
能の山伏が着ている丸い房のついた旅衣の形に似ているからだというのだが、
いや、似てはいない。
篠はすず竹のことで、道の両側から露で濡れた篠竹が覆いかぶさり、旅の衣を濡らしてしまう、立川あたりの道も昔は篠竹に覆われていたそうな。
我が故郷信濃の枕詞、「みすずかる」のみすずも篠竹の事なんです。
スズカケの樹と呼ぶと、やがて能衣装の篠懸が消えてしまう。
プラタナスといいましょう。
(牛鳴)